神奈川県警がエイワ社員らを逮捕(1993年)

神奈川県警察本部(県警)捜査2課と伊勢佐木署は1993年4月7日、自社の顧客名簿を他社に横流ししたとして、窃盗の疑いで大手消費者金融会社「武富士」(本社・東京都新宿区)の元支店長A(当時20代後半)と、消費者金融会社エイワ(本社・横浜市西区)課長B(当時30代前半)の2容疑者を逮捕した。

顧客名簿約80枚(約4000人分)をコピーし、横流し

調べによると、武富士の元支店長は、横浜市の武富士関内支店に勤務していた1990年(平成2年)10月ごろ、エイワ勤務のBに頼まれ、支店の顧客名簿約80枚(約4000人分)を盗み出し、コピーしてBに渡した疑い。

顧客1人当たり数十円~百円の謝礼金

当時の新聞報道によると、エイワ勤務のBは、武富士のAに対して、顧客1人当たり数十円~百円の謝礼金を払った疑いが持たれた。Bはエイワの顧客拡大に利用していたらしい。

顧客名簿は約1万9000人分

エイワに流出・漏洩した顧客名簿は約1万9000人分だと推察された。

武富士の内部調査

武富士では1992年9月、客から「利用していない金融業者からダイレクトメールが送られてきた」などの問い合わせがあった。武富士の内部調査でA支店長が名簿を持ち出していたことが分かった。


北海道警が千葉のパブリックを家宅捜索(1994年)

北海道警捜査2課は1994年9月、業務上横領容疑で消費者金融業界中堅の「パブリック」(本店・千葉市/後のクレディア)など数カ所を家宅捜索した。

消費者金融大手の「武富士」(本社・東京)の元支店長がパブリックに転職した際、約120人分の武富士の顧客名簿を持ち出した疑いが強まったためだった。

転職の際に持ち逃げ

捜査対象となったのは、武富士の北海道内の元支店長(当時29歳)だ。元支店長は1991年(平成3年)6月ごろ、パブリックの幹部(当時39歳)から、「わが社に来れば優遇する。土産に支店の顧客名簿を持ってこい」などと誘われた。

住所、氏名、生年月日、収入、負債額などのプライバシー

これを受けて、武富士の北海道内の支店の顧客名簿の一部約120枚(約120人分)のコピーを持ち出し、手渡した疑いが持たれている。

名簿には顧客の住所、氏名、生年月日のほか収入、負債額などのプライバシーが記載されていた。

千葉のパブリック

元支店長は1991年(平成3年)7月にパブリックに移った。間もなくパブリックも退社した。

パブリック側は事情聴取に対し「顧客名簿は独自の営業努力で作成している」として関与を否定しているという。

苦情電話が続出

1992年(平成4年)6月ごろから、顧客から武富士のもとに「名前も知らない消費者金融からダイレクトメールが来て困っている」との苦情電話が相次いだ。

調査の結果、名簿の流出・漏洩(ろうえい)が分かった。

業務上横領教唆の罪で道警に告訴

武富士は1993年2月、パブリックの幹部を業務上横領教唆の罪で道警に告訴した。

5000万円の損害賠償を求める民事訴訟

また1993年8月には、パブリックに5000万円の損害賠償を求める訴え(民事訴訟)を東京地裁(地方裁判所)に起こした。

2人とも武富士の社員だった

このパブリック幹部は元武富士の社員で、元支店長の上司でもあったという。

民間の信用調査機関などによると、パブリックは1990年(平成2年)8月設立。当時の社員は約130人だった。北海道、九州を中心に全国20支店があった。

上場企業クレディアに買収され、100%子会社に(2000年)

プレナス投資顧問によると、パブリックはその後、東証一部(現プライム市場)上場の消費者金融のクレディア(静岡市)に買収された。2000年9月、パブリックの全株式をクレディアが取得し、100%子会社にした。株式取得額は9000万円。株主のパブリック社長らから買い取った。2000年3月期の貸付金残高が161億4000万円。 従業員110人。

顧客の75%が女性、電話受付が中心

プレナス投資顧問の資料によれば、当時、パブリックは、顧客の75%が女性だった。電話受付による振り込み貸し付けを主力商品だった。札幌、大阪など5店舗を構えていた。電話等での営業が中心であるため、顧客(借り手)は全国に広がっていた。一方、クレディアは、東海、関東を地盤としていた。

吸収合併されて消滅

買収後も経営的には厳しく、債務超過の状態だった。このため、クレディアは翌年の2001年、増資を行って債務超過を解消したうえで、吸収合併した。この結果、パブリックは消滅した。また、クレディアも2007年に倒産した。